職場の業務改善のすすめ 第3回「業務パターン別の4つアプローチ」

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管理人

加藤雅久(かとう・がく)

名古屋生まれ(仙台在住)

業務改善・コミュニケーション向上エキスパート

早稲田大学政経学部(政治)卒

MBA(戦略的経営専攻)

英検1級

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ホワイトカラーの業務改善とは

生産管理の現場は、モノ(製品)をつくることが目的ですから、製造プロセスを作り、改善するのはある意味、当たり前のことです。もちろん、戦後、QC(品質管理)という手法が取り入れられ、不良率を減らすという観点からの製造ラインを改善するのですが、品質に貢献するにせよ、工期短縮などコスト削減に寄与するにせよ、ラインを改善することが、最終アウトプットである見えるモノ(製品)に反映します。当然のことながら、これは数値化しやすく、経営数字へのインパクトも明確です。

一方、ホワイトカラーの業務はどうでしょうか。

先ず、生産現場と異なり、モノ(製品)を対象としませんから、扱うのはある種「情報」だけです。人事部は人を扱うのですが、人材育成といっての人を物理的に作り出すわけではありませんから、あくまで異動させたり、昇格させたり、教育研修を受けさせたりするのが仕事で、そのために人物評価や業績評価を行いますが、すべて情報だということができます。

次に、生産現場と異なり、目の前に目に見える製品がなく、製造ラインがありません。多くの仕事は、PCを使ったり、ペーパーワーク、電話やメールでの業務ですから、外からみても、みな同じに見えて、どういう業務をしているのかわかりません。ホワイトカラーの業務改善でも、「見える化」が強調されるのは、このようにホワイトカラーの業務が「見えにくい」という特徴によるものです。

また、その「見えない」特徴のため、ひとつひとつの業務の成果が難しいということから、どう改善したらよいかの数値的な目標も立てにくいし、それを行うインセンティブも働きにくいことになります。

そして、業務が、生産現場のようにチームワークで一つ一つの製品を作り上げるというより、個人ベースで完結している場合が多いといくことです。そのため、上司、管理職も、仕事の遅い人に対して、個人の能力(パフォーマンス)の問題として、どうしてもっと早く手をつけなかったのか、今まで何をしていたのか、などと毎回叱責するだけで、問題を放置したままになることが多いでしょう。

ホワイトカラーの業務は、4パターンで、多岐で、複雑

ホワイトカラーの業務は多岐に渡っており、業務も数多くありますが、大きく分けて4つの形態に分けられると思います。

1.定型業務

業務システムへのデータ入力作業、伝票処理、データ集計作業のような事務処理作業。日報の作成。書類の管理・ファイリングなど。

2.企画型業務

顧客に提出する各種提案資料作成。顧客からの要望、法制度の変更への対応。社内の企画書、社内の組織横断的、全国支社店の統括的なプロジェクト推進業務。経営トップからの調査報告、経営特命事項に関する業務

3.イベント対応型業務

新人研修、株主総会、情報システムの構築のような日常的ではないが、年に1回くらいの割合で実施されるイベント、プロジェクトの業務。その業務には、専門的なノウハウや経験の蓄積が必要な場合が多い。

4.マネジメント型業務

生産・製造部門への工程(納期)確認業務、契約の仕様変更に関するコスト管理・利益管理、会社の売上げ予算・利益計画管理、部下の業務管理・指示・指導、業務進捗管理、部下の勤務管理(残業時間管理)、トラブル対応

これら4形態を単独で行う場合もあるでしょうが、多くの人は、いくつかの組み合わせ、または、この4つの形態全部の業務をされているのでしょう。

業務パターン別の業務改善

業務パターン別に、その業務改善策を考えてみましょう。

1.定型型業務=見直す、減らすを中心に考える

ECRS発想法というアプローチがあります。すなわち、

Eliminate 業務の廃止

Combine 結合する 複数の業務を同時にやる。ひとりでやっている仕事を2人で分担、

Rearrange 順序を変える その業務を得意な人に移す

Simplify 簡素化:システム化、自動化

このアプローチのうち、ずばり、生産性・効率を上げるのに一番効果的なのは、Eliminate、その業務をやめてしますことです。これは、方法を検討する時間も必要がなく、当日から実行できるという意味で、一番パワフルな業務改善なのです。

しかしながら、業務改革、業務プロセス改善というと、何故か、Simpifyという名目で、ITシステムの導入、既存システムの機能変更、追加という形で、プロジェクト化するケースが多いのではないでしょうか。定型型の業務の場合、業務の簡素化が目的なのに、何故か、ITシステム導入となると、利用者から要望事項が、これも欲しい、あれも欲しい、とたくさん出てきます。業務が簡素化されないで、業務のもたらす付加価値が向上するとか、最初の目的と違う話になってしまうのです。

該当する業務が、定型型業務だけの部門、たとえばコールセンター、契約書類などの事務作業センターのような職場であれば、業務プロセスの改善を見直し、機械化、ITシステム化を最優先で進めるのが得策でしょうが、そうでない場合には、業務の廃止を検討することが、費用も時間もかからず、チーム(組織)の生産性をあげることが重要です。

2. 企画型業務=スキル育成、時間管理を導入する

企画書、報告書の作成は、提出先が顧客で売上げに直結するとか、会社の幹部へのものであったりすると、出来る限りの時間と労力を使ってでも、より良いものをつくる傾向があります。表現を書き換えたり、図表の見栄えを良くしたとしても、それによってもたらされる付加価値はほとんどありません。

しかしながら、ほとんどの人は、完成物の品質イメージを具体的にはもっていなのではないでしょうか。提出期限があるので、ギリギリまで頑張って作成するのであって、どういうレベルの企画書、調査レポートを、どのくらいの時間をかけて作成するという相場観をもっていれば、仕事の生産性もあがり、働き方も大きく変わるでしょう。

あるテーマの文書を作成する場合に、その文書の目的を確認し、参考とすべき資料を集め、読むといった一連の調査があり、それらからの材料から分析をおこない、そして、文書を書くわけです。それぞれのプロセスにどれだけの時間をかけるのか、成り行きで作業をこなしていては、大抵、文書を実際に書く時間が足りなくなって、時間切れ、というパターンもあるでしょう。

時間切れで、相手(顧客、会社のトップ)の期待に及ばない品質の低い文書を作成するのは、会社にとって経営的はダメージですが、時間をいたずらにたくさん使って、提出期限に間に合わない、あるいは、他の業務にしわ寄せがいくのも、チームとしての生産性の観点からみれば、会社にとってもダメージになります。

反対に、管理者が、これらの企画型業務について、「標準時間」を把握すること、また、そういう効率的な業務をできないメンバーに、標準時間でできるように教育できれば、チームにおける労働管理が今より格段に容易になります。

3. イベント対応業務=ノウハウ、専門知識の共有化、ドキュメント化

「余人をもって変えがたい」といわれる仕事が、創造性を必要とする高度な業務とは限らず、他の人がやりたがらない、意外と泥臭い業務であったします。外務省の国際会議におけるロジスティクス担当(要人の宿泊、移動などの手配)、株主総会の総会屋対策など、一部の人たちが長期間にわたってその業務を担当することにより、効率、生産性よりも、コンプライアンスの面から問題が生じてくるケースもあります。やはり、ノウハウ、ナレッジの共有化をはかる工夫、マニュアルなどのドキュメント化、そして、担当者以外の目(管理職含む)で、定期的に業務を見直す機会をもうけないと、担当が変わるたびに、不慣れなために時間がかかり、またそのイベントの出来不出来が不安定になるばかりか、不慮のトラブルが生じるなどのリスクも大きくなります。

4. マネジメント業務=業務の「標準時間」を把握する

業務改善という見地から、理想的には管理職自身が、その部門の業務においては、高いパフォーマンスを要していることが望ましいです。その上で、それぞれの業務についての「標準時間」を認識し、部下がその標準時間に及ばない場合には、みずから指導するか、あるいは、それをできるような体制をチーム内につくらないといけません。

新しい時代には、雇用形態が異なる人がチームのメンバーになります。派遣社員、契約社員、パート・アルバイト、そして育児・介護で時短で働く人、自宅勤務(テレワーク)を一部取り入れる人もいるかもしれません。正社員だけであれば、時間のある限るみんなで頑張って働くということで、仕事の割り振りも、残業時間もあまり気にしないで、チーム全体の仕事をこなせたかもしれませんが、それでは、管理職の責任が全う出来ません。ひとつひとつの業務の標準時間を把握できてこそ、初めて、それらの雇用形態違うメンバーに最適な働き方をさせることができるのです。

営業部門と間接部門の違い

さて、ホワイトカラーといっても、様々な部門があり、ひとまとめにするのは難しいですが、契約業務の処理センターやコースセンターのような部門は比較的、生産部門に近いと思います。一方、営業部門は、ホワイトカラーでも直接部門となり、人事・経理・総務・法務などの間接部門とは分けて考えたほうがよいでしょう。

何故かというと、営業部門は、会社の収益を生み出す部門ですから、業務進め方、効率よりも、より多くの売上げ、利益を創出するという明確な経営指標があるからです。そのため、営業活動に邪魔な手続や、書類、余分な仕事を増やして欲しくないという思いが強いため、業務改善には抵抗します。そして、その経営指標の追求とその業務の複雑さゆえに、生産性を度外視するような職場になり、長時間の労働(残業時間)という問題も生じやすいのです。

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